職人としての会計士が意識するべき能力【3つの視点】

みなトン
みなトン

会計士に求められる能力ってなんですか?またそれは、どうやったら身に付きますか?

大手監査法人出身の私が、その疑問にお答えいたします。

結論:想像力・行動力・質問力

  • (取引の背景を)想像する力
  • (事実を確認する)行動力
  • (情報を引き出す)質問力

想像力

監査人は、年間の監査計画を策定します。その際に、その企業で考えられるリスクを洗い出し、そのリスクに対して監査手続を設定していくのです。

これは、会計士試験に合格した方であれば、当たり前の話でしょうが、それを初めて担当する会社に対してやろうとすると、実は非常に難しいのです。

当たり前ですが、そもそも、その会社のことについて知らないと、本当の意味でのリスクを洗い出すことはできません。なので、このリスクを洗い出すという作業は、経験値がものをいう世界でもあります。

とは、言っても、誰もが最初は、初めてのクライアントに行くのです。その時に必要な能力こそが、想像力です。

財務諸表は、取引の積み重ねの結果なので、一つ一つの取引に分解して考えるのです。

  • 取引する背景に何があるのか
  • その取引の計上方法を誰が・どうやって検討しているのか
  • 実際その取引をどうやって計上しているのか

など、想像するのです。特に、想像の視点を増やしていくことが重要。

でも、そうは言っても、何も知らなければ、陳腐な想像しかできないですよね。その中でも、私は、「人」に生じる変化を知っておくことがすごく大事だと思っています。

外の世界は常に変化していて、それに対応するべく会社も変化しています。そのため、おのずと、その中にいる人達も変化していくのです(まー、変化しない・したくないという方はいると思いますが)。

そして、監査人は、外部の変化も理解する必要がありますが、それによる内部への影響に敏感になっておく必要があります。影響を受けた人達が意識して行動した結果が、財務諸表に数値としてあらわれてくるからです。

なので、会社の中で「人」にどのような変化が生じるのかを少しでも知っておくことが重要。それを知ることができる本があります。『申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。』です。

これはコンサルタントが強制的に内部に変化をもたらしたことで、人がどう変化してしまったのかを知ることができる良本です。

人の変化を知ることで、想像力をより膨らませることができる(はず)。

まー、だいぶ偉そうなこと言ってますが、私も日々勉強です…はい、自戒を込めて。

行動力

想像力だけでは、想像しているだけです。まあーいうなれば、あなたの妄想ですねw

なので、その妄想が実際にどうなっているのかを確認する必要があります。それが、監査手続です。

文章で書くと、すごく、当たり前のようになってしまいますが、慣れてくればくるほど、人間というのは、楽な方に行ってしまいがち。

理解していることは、もう大丈夫と思って、実際どうなっているか確認することをおろそかにしてしまうのです。

そこを確認するのが仕事だろ‼と思うかもしれませんが、そういうものなのです。

過年度の調書や、自分も同じ経験を2・3度していると理解していることを、確認していると勘違いしてしまっているのです。ただ、実際に確認しないと、それは、最初の妄想と同じ状況です。なので、監査人に求められることは、常にその事実を確認するという行動力です。

行動力については、私は、スピードを意識するといいと思ってます。結局、色々考えていると行動するのが億劫になってきます。なので、とにかくにスピードを意識してて、どんどん処理していくと、自然と行動力ってついてくるのかなと思ってます。

スピードを意識するのに最高の本は、『速さは全てを解決する』です。マッキンゼー出身の赤羽さんの著書。とにかくに、スピードを上げる工夫が余すことなく書かれています。

工夫のしかたを工夫する

この言葉を見た時は、はんぱねーとしか言えなかったですね。行動力とは一見関係ないような、スピードを意識することで、自然と行動するようになる方法。是非、スピードを意識してみてください。そうすると、スピードを上げることの工夫が、毎日に刺激を与えてくれますよ。

あと、この本の記事も是非。

質問力

これも当たり前のことですが、会社のことを、一番理解しているのは、会社の人です。

監査人は、所詮、外部の人間。

会社の中で、実際にどういう風に仕事をしているのかを監査人が知るには、どんなにその会社の担当歴が長くても理解することは、難しいのです。

じゃあ、どうやって会社のことを知るのか。

質問です‼

といっても、なんでもかんでも質問するわけにはいきません。監査人は、通常業務がある中で対応してもらっている身です。

何を意識して質問すればいいのか。それは、自分が想像したことと、行動力からわかった事実とのギャップ。そのギャップこそ、何を隠そう、理解できていない箇所だから。

理解できてない箇所は、徹底的に質問するべきです。だいたい何か出てくるのは、そういう場所からですw

ビジネス以外の会話も必要

クライアントも人です。必要最低限のことばかり質問していると、会計士はつまらない人達という扱いになります。ただでさえ、何か言われると会社の中で対応が大変になる可能性がある人達なのです、監査人は。

だからこそ、ほんの少しでも、本来の質問以外の会話もするべき。会計士ではなく、一人のビジネスマン・ウーマンとして認識してもらうのです。

そのためには、やはり相手に合わせて会話ができないといけません。そうです、会話のための情報が必要なのです。

その場合、新聞であれば、日経新聞+日経産業新聞、週刊誌であれば、プレジデントの定期購読がおすすめですよ。

とわかったようなこと書いてますが、こちらは、『超一流の雑談力』の受け売りですw

こちらの本には、雑談のヒントがたくさん載っています。是非、雑談の情報も収集してみてください。

きっかけ

今回の記事は、『棟梁』という本を読んで、職人とは何ぞやを考えたことがきっかけで書いてます。

ちなみに、職人とは、頭で考えたことを、道具を使って具現化できる体を持った人と定義をしました。

何言ってんだ?と思うと思いますが、Kazuラジ(Stand.fm)で説明しているので、気になる方は、是非ご視聴ください。

会計士に当てはめてみると、こんな感じかなと思ったのがきっかけ。

・頭:(取引の背景を)想像する力
・体:(事実を確認する)行動力
・道具:(情報を引き出す)質問力

【Kazuラジ】職人ってどんな人のことを言うの?って話

【参考図書】