の疑問にお答えいたします。
会計士3年目までに読んでおくべき本【7冊】
他にも読んだ方がいい本は沢山あるんだけど、とにかく7冊に絞りました。
選んだポイントは、”会計士試験では勉強しない論点”が勉強できる本です。
【厳選7冊】
【人件費】
1:人件費をめぐる会計処理と税務―Q&Aで基礎からスッキリわかる
【固定資産】
2:不動産取引の会計・税務Q&A
3:資産除去債務の実務ガイド
【税効果】
4:税効果会計における繰延税金資産の回収可能性の実務
5:税率差異の実務
【M&A】
6:Q&Aでわかる M&A実務のすべて
【開示】
7:適時開示実務入門
1:『人件費をめぐる会計処理と税務―Q&Aで基礎からスッキリわかる』
著:新日本有限責任監査法人
会計士試験と実務の差の1つが「人件費」。会計士なら誰もが通る登竜門ですね。
人件費の細かい制度や算定方法については、会計士試験じゃ勉強していないですよね。
なので、1度、本腰いれて勉強する必要があります。
が、勉強しないとまずい1番の理由は、現場でわかっていないのは、新人会計士ぐらいだからです。
当然、毎月支払い処理をしている経理の人達は、わかってますからね~。
ということで、勉強しましょう。
人件費に関する税務も一緒に勉強できる本がこちら。かなりおすすめです。
2:『不動産取引の会計・税務Q&A』
編集者:EY新日本有限責任監査法人 , EY税理士法人 , EYトランザクション・アドバイザリー・サービス(株)
次は、固定資産。
固定資産は、会計士2~3年目までには担当すると思います。
で、固定資産といえば、減損会計かな?とぱっと想像したかもしれません。
それは、確かに大事。
ただ、それ以外にも固定資産の取引には、会計士試験では勉強していない論点が多く関連します(特に税金)。
しかも、固定資産の取引は金額が多額になりやすいので、どこの数値に影響するかを知っておかないと監査をする上で、怖い取引でもあります。
なので、事前準備として、
・どんな費用や税金が発生するのか
・どんな取引があるのか
を把握することが必要。
で、その両方を兼ね備えた本が、こちら。
会計士が勉強していない税金はもちろん、不動産取引の取得から売却に沿った取引パターンを掲載してくれています。
ただこの本は、ボリューミーなので、まずは一般的な流れで発生する取引の章だけ読むといいと思います。それだけでも、知らなかったことが一杯でてくると思うので、だいぶレベルアップしますよ。
(参考)
第1章:不動産の取得
第3章:不動産の保有
第5章:不動産の評価
第6章:不動産の販売・売却
個人的には、本書の最初の方ページに記載されている、「不動産取引・会計処理論点マップ」は全体像を理解する上で、ナイスすぎますね。
いや~、この本は、まじでずっと使えると思うので、是非どうぞ。
3:『資産除去債務の実務ガイド』
著:KPMGあずさサステナビリティ株式会社
固定資産がらみで、もう一冊。
資産除去債務って、奥が深いということがわかる本。
受験勉強じゃ、まず出てこないこと盛りだくさん。
これ、環境に関して詳しい人達の集団、KPMGあずさサステナビリティ(あずさ監査法人の100%子会社)が書いている本。PCBや、コンデンサ、さらには、「特定製品にかかるフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律」とかって知ってますか? 私は、この本で知りましたw
様々な事象を会計に当てはめる必要性がわかる良本。
4:『税効果会計における繰延税金資産の回収可能性の実務』
著:竹村純也
実務にでると、繰延税金資産の回収可能性については、やたらと話にでます。
会計士受験では、税率を乗じていればよかったあの繰延税金資産。
しっかりと、理解しておく必要がある論点。
5つの区分、説明できますか?
5つの区分?という方、あれ、この要件ってなんだったけという方は、わからなかったことは他言しなくていいので、何も言わずに、この本で勉強してください。
5:『税率差異の実務』
著 中島努・中島礼子
税率差異の論点も、3年目までに勉強しといた方がいい論点ですね。受験勉強時代には聞いたこともない単語じゃないでしょうか。
インチャージになると、税率差異分析は必ずやる手続きです。
3年目までに先輩に教えて挙げられるレベルになっておくと、先輩は冷や汗ものになります。是非先取りで、理解しておきましょう。
6:『Q&Aでわかる M&A実務のすべて』
著 G-FAS株式会社
皆さんも、M&Aが重要であることは、重々承知していることだと思いますが、実務は、どんな流れでやってるのかご存知ですか?
おそらく、わかっていない会計士もたくさんいると思います。
と言っても、M&Aに関する情報は膨大なので、最初は大きな流れや、何やってるのかだけ理解しておけばいいと思います。それをわかりやすくまとめてくれている本がこちら。
因みに、M&Aを経験しているクライアントの方々はわかってるので、監査人なら流れだけでも理解した方が本当にいいです。
トンチンカンな質問をしたくないという方、是非。
(M&Aの世界をもっと知りたい方)
↓のリンクを開けば、壮大なM&Aの世界を垣間見ることができます。興味がある方は、こちらもどうぞ。
7:『適時開示 実務入門』
著:鈴木広樹
この本は、会計士試験を合格したら、すぐ読んどくべき1冊だったなぁと思っている本です。
いきなりですが、質問です。
・そもそも適時開示って知ってます?
恥ずかしながら、私は監査2年目ぐらいまで、適時開示を知らなかったです。(当然ながら)クライアントの適時開示は見ていませんでした・・・
でもこれ、私だけではないような気がします。
そもそも、適時開示について、知らなければ、見るという発想にならないから。
ちなみに、
「適時開示」とは、東京証券取引所が設定している開示のルールです。
会計士試験では勉強しない点だけど、上場会社は、常に意識している点です。
なぜなら、ルールに該当した場合には、”適時”に情報を”開示”しなければならないから。
ただ、適時開示のルールって、実は膨大にあるんですよ。
一応載せておきますが、経理担当者がみている本はこちら(2022年4月版)。
で、適時開示を知らない人がいきなりこれを読んでも適時開示の全体像は理解できないと思います・・・
なので、さっきの質問に、自信をもって「はい」と答えられなかった方は、是非「適時開示 実務入門」でまず学んでみてください。
適時開示について、すごくわかりやすく、要点のみをまとめてくれていると思います。
すぐ読めるし、読んだだけで経理の人達が気にしているポイントを得ることができるので、視野を広げるという意味では効率的な勉強だと思います。
是非どうぞ。
読む際にやるべきこと
ただ残念なお知らせが。
今紹介した本を、ただ読むだけでは、おそらく、全くといっていいほど、頭に残らないと思います(経験者は語る…)。
面倒だけど、必ず役立つと思うので、会計知識を手に入れたいのであれば、2つのアクションをやってみてください。
1:読む前に、イメージを持ってから読む‼
会計基準は堅苦しく書いてあるので、理解しやすくするために”事前に”できるだけイメージを持っておくことが重要。
イメージがないと、記憶に残りにくい。
⇒つまり使えない
イメージの作り方(例)
・自分の担当している会社はどうしているか調べる
・監査調書上、どういう手続きをしているか確認する
2:知識を知恵に
さらに、本を読んだあとやった方がいいのは、アウトプットです。
アウトプットしてこそ、使える知識になるので、アウトプットは面倒ですがやるべきです。
アウトプットをやる・やらないで、理解力・説明力・知識力に雲泥の差がでます。
アウトプットの簡単な方法は、一人説明会。どんなシチュエーションでもいいですが、例えば。
・自分が読んだ本に関連する監査調書を、上司に説明する
・経理担当者から、これってどう会計処理すればいいですかと質問された時をイメージして、説明する
その他には、ブログなどで、自分なりの解説記事を書いてみるなど。
とにかく、どんな方法でもいいので、一回はアウトプットしてみてください。
たぶん説明できないことが、沢山でてくると思いますw
そしたら、戻って調べればいいのです。その繰り返し。
想像してみてください
自分がクライアントに説明しているところを。ちゃんと説明できてますか?
しっかり勉強して、プロフェッショナルとしての知識を手に入れましょう。
参考
(関連)