の疑問にお答えいたします。
会計士3年目までに読んでおくべき本(税務編)【5冊】
何を勉強すればいいか悩んでいる会計士さん。
悩んでいるなら、”監査現場に行く前に知っておくべきこと”が勉強できる本を勉強してみてはいかがでしょうか。
他にも読んだ方がいい本は沢山あるんだけど、5冊に絞りました。
- 【科目別の税務処理】主要勘定科目の法人税実務対策
- 【税法】税務インデックス
- 【組織再編】税務申告でミスしないための組織再編の申告調整 ケース50+6
- 【国際税務】これだけは押さえておこう 国際税務のよくあるケース50
- 【グループ通算制度】グループ通算制度 勧める・勧めないの税理士の判断
会計士試験に合格して税務にも詳しくなりたいからといって、会計士が税理士試験の勉強するのは、否定はしませんが、あまり効率的な勉強法とは言えません。
なぜなら、会計士1~3年目って学ばなければならないことが、税務以外にも沢山あるから。
その一例がこちら。
なので、税務について詳しくなりたいと言っても、監査現場で関係ありそうなことから勉強するのが一番効率的だと思います。
では紹介していきますね。
1:【科目別の税務処理】 を学べる本
『 主要勘定科目の法人税実務対策』
著:小池 敏範
監査現場で関係がありそうなことを勉強する際に、ポイントが1つ。
それは、
「事前に学んだことを、監査現場でチェックする」
です。
じゃあ、監査現場に行く前に何をすればいいの?と思いますよね。
私の答えは、
取引をイメージして、会計・税務処理を想定しておく
です。
・・・?
いや、そうじゃなくて何を勉強するの?と思った方。
非常に勉強への意識が高くて素晴らしいですが、気を付けてくださいね。勉強することが目的にならないように。
皆さん会計士試験を合格してきた方々だと思うので、勉強方法については自分なりのやり方でいいと思います
ご参考までですが、実務にでた後の勉強法として、私が効率的だと思っているのは、監査の視点に、税務の知識を加えていくように意識して勉強する方法でした。
何がいいたいかというと、実務に出たら、勉強したことを実務に活かせるように勉強することが重要ということ。
では、もう一つ質問です。
監査査は、当然、会計処理が正しいか否かを判断しますよね。では、その判断ってどうやってますか?
会計処理が正しいか否かは、自分の頭の中にある正解の処理と整合しているか否かで、判断しますよね。
つまり、頭の中に「仮説」が先にないと正誤判断ができないですよね。
その「仮説」を頭の中で整理しながら、税務処理が学んでいける本がこれ。
この本は、勘定科目毎に「会計処理マニュアル」「税務上の取扱い」「消費税との関係」の順に書いてくれているので、まず、会計処理マニュアルで、「仮説」を頭に作り、その上で税務処理を確認していくことができるというグッドな本。
特に、この勘定科目毎というのが、監査人としてはいいんです。監査現場に行く前に自分の担当する科目に目を通して、その都度「仮説」を作り上げて監査現場に行けるから。
あと個人的には、消費税について記載がある点もナイスです。痒い所に手が届く感じ。
自分で調べるのは手間だし、消費税って希薄になりやすいのでので、意識付けにもつながります。
監査の視点を養いつつ、税務知識を増やすことができる良本です。是非ご活用ください。
2:【税法】を確認できる本
『 税務インデックス』
著:税務研究会
今回は、この本を勉強するというものではなく、辞書的存在の本。
税務の視点で物事を見ようとすると、やはり疑問点というか、確認しなければならないこと(=知らないこと)が多発しますw
そんな時には、こちらです。
税法がものすごくコンパクトにまとまっているので、持ち歩き可能であり、税法の確認という点では相当便利。
監査六法と一緒に常に横に置いておく必須の本。
毎年6月ごろに、発行されます。
3:【申告調整】 を学べる本
『税務申告でミスしないための組織再編の申告調整 ケース50+6』
著:西村美智子、中島礼子、長沼洋佑
いきなりですが、質問です。
税務申告書の調整って、できます?
会計士1~3年目で「できます」と、言える人はなかなか少数なのではないでしょうか。
ちなみに、今でも私は「できます」とは口が裂けても言えません・・・
その中でも組織再編税制は非常にヘビーなので、最初から学ぶには少し早いというか、他にやることがありすぎて手が回らないかもしれませんが、敢えてこの本を紹介しています。
なぜなら、この本の記載方法が、会計士として申告調整を学ぶにはすごくいいと思っているから。
組織再編のケース毎にご丁寧に、
①会計仕訳、②税務仕訳、③差は何か、④申告調整
の順で説明してくれています。
文字で書くと、当たり前じゃんと思いますよね。書いている私ですら思いますから。
ただ、この当たり前のことが、申告調整という意識が希薄な会計士は、最初の内は難しいんですよ。
なので、申告調整という意識を身に付けるという点と、組織再編の会計処理も載っているので、組織再編に関する会計処理を改めて学ぶという点でこちらを本をご活用ください。
あと、M&Aに詳しくなりたい方は、こちらで紹介している本達も是非ご覧ください。
4:【国際税務のパターン】 を学べる本
『これだけは押さえておこう 国際税務のよくあるケース50』
著:佐和 周
監査クライアントは基本、上場会社だと思います。
そうだとすると、当然、海外子会社や、海外への販売など世界をまたにかけている企業を多くの会計士が担当しているでしょう。
では、質問です。
海外取引が絡んだときに、どんな税務上の問題がありますか?
・・・
大丈夫です、わからないからこそ勉強するのです。
ただ、全くわからないことを学ぶときは、いきなり基準や法律自体をアカデミックに学ぼうとするのではなく、イメージが湧きやすい事例から入る方が理解がはやいと思います。
そんな時こそ、こちらの本。
著者がよく質問されるケース別に、ポイントを整理してくれています。
例えば、
海外から製品を輸出入した場合や、海外に支店や子会社を設置した場合などシンプルなケースから、
海外子会社をもつ日本企業を買収場合、海外子会社と共同で研究開発する場合など、言われるとなるほどと思うケースまで載っています。
つまり、みんなが思う疑問の集約本です。
また、税務の本では珍しいですが、税法の条文の記載がない(⇒筆者が意図的に記載していない)ので、非常に読みやすいと思います。
最初に学ぶには、こちらをどうぞ。
5:【グループ通算制度】 を学べる本
『グループ通算制度 勧める・勧めないの税理士の判断』
著:GCA FAS株式会社
皆さん当然ご存じだと思いますが、令和2年度の税制改正で、連結納税制度が見直され、グループ通算制度に移行されることになりましたね。
・・・ん?というかは、令和2年度税制改正パンフレットをご確認ください。
で、この移行というのが、ミソで、、
連結納税制度を導入していた企業が移行するだけでなく、いままで導入していない企業が、グループ通算制度に移行することも含まれているということ。
何が言いたいかわかりますね。
監査人としては、クライアントが連結納税制度を導入していたか否かは関係なく、グループ通算制度に移行するとどういう変化が発生しそうかを知っておく必要があるのです。
で、グループ通算制度を学ぼうとすると、わかると思います。
どの本も、半端ない分厚さです…
(参考書籍) | ページ数 |
詳解 グループ通算制度Q&A | 880 |
グループ通算制度の実務Q&A | 504 |
設例で理解する 最新 グループ通算制度実務ハンドブック | 432 |
時間は有限です。学べるのなら、効率よく学びたいですよね。
そんな時こそ、こちらの本。
導入か廃止をアドバイスをしなければならない税理士の立場から、「移行に伴う変化」に的を絞って記載してくれている本がこちら。
そして、何よりも、コンパクトです。ページ数は、180ページ。
的を絞って、理解を深めたい方は是非ご活用ください
最後に
最初にも言いましたが、監査にプラスアルファになるように学ぶことを意識して勉強した方が、アウトプットというか、自分が直面している事象に関連付けられる機会が多くなるので、身に付きやすいと思っています。
会計士1~3年目は、他にも学ばなければならないことが沢山ある中で、気を負いすぎても疲れちゃいます。毎日コツコツ、でもできるだけ効率的にを意識しながら勉強してみてはいかがでしょうか。(自戒も込めて。。。)
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