という疑問にお答えしたします。
AI基礎知識の習得方法
頭の体操
いきなりですが、頭の体操を。AIで、コンビニが無人店舗になると一時期話題になったのをご存じでしょうか?仮にそれが一般化した時に、どのような監査への影響があるでしょうか。
ま、考えずに先に進むと思いますがw
無人店舗の場合、売上数値の入力、管理、出力をAIが全て実施することになります。その時、いままで人間がやっていた入力に関する内部統制の質をより上げる必要があるでしょう。なぜなら、AIによる部分はブラックボックス化してしまい、正確性の検証が困難になるからです。しかも、AIが行う作業にミスがあった場合、膨大なミスが発生する可能性が高く、さらに、それは売上高のような重要な勘定科目に影響を及ぼしている可能性が高いからです。
と、少し考えただけでも、AIが監査に影響を与えることは容易に想像がつきます。なので、AIについて、監査人が何も知らないではすまないはず。
勉強しなきゃいけないのはわかるけど、何から手を付けていいかわからない…ですよね。
機械学習などのプログラミングの勉強をした方がいいのか?と思うかもしれませんが、それよりも、まず目指すべきは、クライアントが話すAIの話を理解できる基礎知識と、導入企業の情報に基づく監査手続の検討だと思います。ただ、どんなAIがあるのかわからない状態で検討することは困難だと思うので、どのようなAIを導入しているのかを知ることが重要だと思います。
基礎知識の勉強法
私がいつもやっている、初めて勉強する知識の手っ取り早い勉強法は、資格勉強です。
理由は、とにかくその分野の枠組みを知ることができるから。
会計士なら十分わかっていると思いますが、資格試験は、範囲が膨大でも、必ず試験範囲があります。そしてその試験範囲を提示するには、その分野が体系づけられている必要があるのです。その体系と、各枠組みに関する基礎知識を勉強することで、その分野に関する骨格が自分の中にでき、その後の理解力があがると私は思っています。
あと個人的な感覚ですが、試験を受けることを想定して本を読まないため、覚えなきゃという感覚なく、読み物的に読めることが私的には、理解に注力できているような気がします。まー、せっかくなので試験受けてもいいんですけどね。
だから、資格用のテキストがある場合には、最初に勉強するには最適な本だと思っています。
で、AIにもあるんです、検定試験が。それは、一般社団法人日本ディープラーニング協会が実施しているG検定です。そして、読むべきは、『ディープラーニングG検定公式テキスト』。
AIの歴史、動向、問題点などが、AI初心者である私でもわかるぐらいわかりやすく説明されています。読むだけなら2日間ぐらいあれば読めると思います。是非、どうぞ。
ちなみに、私は、迷路をツリー構造として捉えるということすら知らなかったレベルですw
この本の知識があれば、なんとか、クライアントが話す内容が、まったくわからないというレベルは脱出できるはずです。
AI導入企業の視点を学ぶ
監査人が学ぶべきは、実際どうやってAIを導入しているのか、そのプロセスや考え方だと思っています。実際に経験することができればよいですが、監査人は監査する側のため、大抵結果だけしか見られない立場にあります。そこで普段使っているのは想像力です。数値の成り立ちや背景を想像し検証して理解を深めるのです。
ただ、何も知らないと想像すらできない状態でしょう。なのでそのプロセスで起こっていること、考えていることなどを知ることができる情報は、非常に貴重だと思います。
そんな導入側の視点をしることができる本が、『いまこそ知りたいAIビジネス』
著者の石角友愛さん:@tomoechamaは、グーグルにて多数のAIプロジェクトをリードした経験の持ち主であり、その後シリコンバレーで起業した、現役AIビジネスデザイナーさん。AIビジネスデザイナーというのは、AIの話が分かって、かつ経営課題をAIに落とし込めることができる人のことを言うようです。
筆者のAI導入経験から、様々なAI導入での問題点などを説明してくれる、非常にイメージがわきやすく、アルゴリズムのことなど、まったく記載がないので、すんなり頭に入ってくる本です。
導入実績については、上記本の髄所にでてくるのと、ディープラーニングG検定公式テキストの第8章にもあります。監査手続の想像しながら読むと効果的だと思います。
ただ、この一冊だけでいいのかというと、まだまだたくさん読んだ方がいいと思いますが、考えながら読む本は少ない方が、多くを学べるように感じているので、とりあえず1冊紹介しておきます。
この本を読むと、データサイエンティストになりたくなる本でもありますw
AIに詳しい人からの情報収集
AIのビジネス導入は始まってますが、これからAIを導入する企業がますます増えていく中で、新たな変化が生じていくでしょう。本による情報収集は多くの情報が整理されているため、非常に勉強しやすいのですが、やはりタイムラグが生じてしまいます。最新の情報をキャッチアップしていくには、AIに詳しい人の情報を入手するのが一番です。
じゃあ、誰が詳しいの?と思いますよね。もう、ご存じの方も多いかもしれませんが、松尾豊さん:@ymatsuoです。
AIの本を読んだり、調べたりすると必ずといっていいほど、この方の名前がでてきます。この方、2014年に発足した人工知能学会倫理委員会の初代委員長なのです。ちなみに、さっき紹介した、ディープラーニングG検定公式テキストの著者の1人であり、『マンガでわかる! 人工知能 AIは人間に何をもたらすのか』も出版されております。
で、他に詳しい人を調べるなら、人口知能学会倫理委員会メンバーから情報を収集すれば、かなりの情報収集ネットワークが作れると思います。是非どうぞ。
(参考)倫理委員会初期メンバー
- 松尾豊さん:@ymatsuo:東京大学大学院工学系研究科
- 西田 豊明さん:@toyoakinishida :京都大学大学院情報学研究科
- 塩野 誠さん:@makoto_tokyo :株式会社 経営共創基盤 (IGPI)
- 長倉 克枝さん:@kaetn :科学ライター
- 長谷 敏司さん:@hose_s :SF・ファンタジー小説家
- 堀 浩一さん :東京大学大学院工学系研究科
(余談)
見てわかると思いますが、色々な職種の方がメンバーです。Twitterを見ると、普段まったく触れない情報ばかりでした。特に、SF作家の長谷さんの情報は、今まで触れることのなかった情報ばかりで、かなり刺激を受けています。やはり、刺激を受けるっていいですよね。