会計士の出張は、AI時代に必要なコミュニケーション力を伸ばすチャンス

みなトン
みなトン
「よく監査で出張に行くのですが、出張前に準備しておいた方がいいことはありますか?」

という疑問にお答えしたします。

前期調書を見る前に分析

よく新人さんに、質問をされたことがあります。当然、私もその質問をしました。
が、「前回の出張時の調書みとくぐらいかな」程度の回答しかもらえませんでした。

そんなことは、わかってんだよ。

といっても、事前に調書を見るのは非常に大切なことです。
出張先での一番のボトルネックは、「時間」。出張先では、基本残業できないことが多いので、事前にやれることはやっておく。

ただ、前期の監査調書見るって、本当に頭に入らないですよね。理由は、大抵出張の調書って、内部統制に関する調書が多いから。だから見るポイントを明確に。

【調書を見るポイント】

  • どんな資料があるかを全体感を確認
  • 各資料のどこをみればいいかを確認
  • 会計論点の有無

でも、思うんです。当然内部統制も大切なんですけど、まず、会計士が見るべきポイントは、企業が数値的にどういう動きをしているのかじゃないですか?企業は、ボランティアをしているわけではありません。事業を営み、利益を稼いでなんぼです。

いきなり、内部統制の資料を見てしまうと、その視点が抜けてしまうのです。木を見て森を見ずです。そうすると、前期調書を見る行為が、資料を追っかけるだけのつまらない作業になってしまう。

なので、まず、出張先の財務情報を事前に入手して、分析することが大事。

今思えば、出張前に数値情報もらえてる方が少なかったような気が…
もしもらっていないなら、事前に2~3年分のTBだけでも依頼するべきです。子会社なら、税務申告書をもらえると大分できることが増えます。

で、もらえたら事前に質問を作るつもりで分析する。

【分析例】

  • 数値の規模感の確認(売上高・営業利益・総資産等)
  • 2~3年の数値の動きから、大きな動きのある科目をチェックし、理由を考える
  • 運転資本の回転期間分析:連動する指標は何かビジネスの商流などを考えて確認(売上高・売上原価など)
    などなど

これをやっとくだけでも、出張先の子会社や支店の全体像がイメージできます。その上で、その数値がどんな資料に基づいて確認できるか、前期調書を見て確認していくと、ビジネスをイメージしながらチェックできるので資料をおっかける作業にならないです。

分析 → 前期調書の順‼

分析手法については、M&Aの際に実施する財務デューデリジェンスの本が参考になると思います。なぜなら、企業を買収するときに、その企業の財務状況を分析するのが財務デューデリジェンスなのですから。是非参考にしてみてください。

【参考本】

出張時の楽しみを見つける

おそらく、最初は、分析をするのに時間がかかり、それどころではないかもしれませんが、出張に行く際は、出張の楽しみを考えてから行くのがいいと思います。

これを聞いて、大人のお店に行くとか想像しているかもしれませんが、違います。
それを楽しみにしてもいいんですけど、せっかくなら、その土地に関する知見を増やすのはいかがでしょうか。

仕事以外の知識こそ、AI時代により求められるコミュニケーション力を高める源だと思います。

なぜなら、そのちょっとした知識により、出張先の人と会話を生みだすきっかけになるからです。仕事のことしか考えてないと、仕事に関する質問しか浮かんでこないです。

相手からすれば、仕事だけのつまらない人ですよね。まー、監査人なので、一定の距離感は必要ですが、やはり相手も人間です。少し近づく努力が必要です。つまり、話しやすさ

じゃあ、どんなことをすればいいの?となりますよね。
何か好きなこと一つを、出張のたびに調べるのはいかがでしょうか。

【例えば】

  • お酒が好きなら、その土地のお酒を調べる(ちなみに、国税局のHPで酒蔵のマップが入手可能)
  • お城が好きなら、近くの日本100名城を調べる
  • ホテルが好きなら、近くの一流ホテルを調べる
  • 山登りする人なら、その地域の山を調べる(例:関東の山あるき100選
  • 産業について知りたければ、地場産業を調べてみる(例:地銀のHPとか見るといいかも)
  • ランニングが好きなら、ランニングコースを調べる
  • 写真が好きなら、絶景ポイントを調べる

など、色々あるんじゃないでしょうか。自分が好きなものとリンクさせられると出張の楽しさも倍増しますね。

ただ、調べるといっても、事細かに調べる必要はないです。むしろ、わからなければ、行って地元の人に聞こうぐらいの気持ちで調べると、疑問が浮かびやすいです。

その疑問などをお昼の時や、(今はあまりないかもしれませんが)夜の会食の時に聞いて見るだけで、会話が生まれます。これこそ、コミュニケーション力を高めるチャンスです。しかも、仕事以外のことを一杯聞ければ、自分にとって、その地域のことを話すネタを仕入れるチャンスです。

仕事以外のことも勉強しなきゃいけないと思うと重く感じてしまうかもしれませんが、コミュニケーションスキルは、AI時代では求められる能力である以上、意識して高める必要があります。しかも、ソフトスキルというのは、そう簡単に能力を上げることが難しいスキルです。

だから、できる限り自分が好きなことを選ぶことで、楽しく、長続きさせることができます。

今はコロナで出張が激減していると思いますが、今の内に、今度行く出張の楽しみを見つけてみてはいかがでしょうか。