という疑問にお答えしたします。
結論:観察力を高め、質の高い情報を収集する
判断の質を高めるには、収拾する情報の質が高ければ、そこから導き出される判断は自然と高くなると考えています。
もちろん、ほしい情報がいつも手に入るわけではないと思っています。とくに、ビジネスでは。でも、少なくとも、自分が入手した情報の質が高めれば、その分、その判断の質は、情報を入手する前に比べて高いはず。
そして、その情報の質を高めるのに有効なのが、観察力です。
いきなりですが、観察力を発揮して、質の高い判断(推理)をしている、いい例が、シャーロック・ホームズにあります。
ホームズがロンドンでワトソンに初めて会った際に、ワトソンのアフガニスタンでの軍隊勤務を言い当てるシーンをご存じだろうか。初めて会ったにもかかわらずです。
どのように言い当てたのか。
- 日焼けをしている → ロンドンではない、他の場所(熱帯)にいた
- 顔はげっそりしている → 休暇でなく、別の何か(病気)で体を壊した
- 片腕に不自然なこわばり → 負傷によるもの
- 熱帯、病気、負傷 → 当時戦争をしていたアフガニスタンにいた
このロジックはんぱないですね。すごすぎる。
一つ一つの観察からの結論は、言われればわかるようなレベルの結論ですが、それを複合的に検討することで、アフガニスタンに行っていたという解が導き出されています。
ひとつひとつの観察と訓練、単純な事実から引き出される単純な推論が、複雑な考え方をする能力を高めていく。
この言葉は、『シャーロック・ホームズの思考術』に記載されている言葉。
この本は、シャーロック・ホームズの思考方法を分析し、観察力がいかに重要かを教えてくれる本。もちろん、ホームズは架空の探偵だが、その推理する時の考え方から学ぶことがたくさんあることを知ることができます。
ちなみに、ホームズは、モデルになった実在の人物がいると言われています。それはジョセフ・ベル博士。
彼は医師で、訪れる患者の経歴を言い当てたと言われている、まるで、ホームズのように。
つまり、実際に観察をもとに、患者の経歴を当てることができていることを考えると、観察力を鍛えることで、得られる情報の質も高められるのです。
では、どうやってホームズやジョセフ・ベル博士のような観察力を身につけることができるのか。
観察力を鍛えるには、注意力に意識を向ける
それは、「注意力に意識を向ける」です。
注意力?と思われた方も多いかもしれませんが、観察力を鍛えるには注意力が必要な理由があるのです。
そして、それを実感してもらえるのが、アート鑑賞です。
なんで、アートなの?とまた疑問に思うかもしれませんが、これは、一度実践してもらうのが一番早いです。
美術館に行くのもいいですが、おそらく流れに身をまかせてさーっと作品の前を通り過ぎてしまうだけだと思うので、
本で実践した方がいいです。私のおすすめは、『観察力を磨く 名画読解』です。
この本の中に、絵を見て、描いてあるものを、書き出してみるという訓練があるのですが、、、
実際、やってみるとわかります。自分は見ているはずなのに、見えていないものがこんなにもあることに…
普通に衝撃でしたねこれ、こんなに、見れてないのね、私・・・orz
つまり、普段の生活や仕事でも、目の前に存在するのに、見えていないものがたくさんあるということ。
ということは、見えることが多くなることによって、もの事の理解力をより高めてくれ、そして、その上で判断することで、より質の高い判断に近づくことができるはず。
チェックリストで注意力を高める
観察力を高めるには、ものを見る際に積極的に情報を求め、疑問を持つことが必要。
出典: 科学研究の方法
積極的に情報を集めるとは、注意して見ることであり、注意してみるには、何に注意して見るかを意識しないと注意できないですよね。
これは、名画読解で訓練した方ならわかるのですが、観察する際は、すべてに注意を払うことは、注意をはらっていないのと同じであり、そして、大した情報は得られないです。
むしろ、一部に注力し、それ以外は見ないことで、多くの情報を入手することができる。
そのため、注意力を向ける先を、自分で意識して振り分けて、物事を見る力を養っていく必要があります。
ただ、そうは言ってもどうすればいいかわからないですよね。
そこで、自分が観察する際に注意してみるポイントのチェックリストを、自ら作成すればいいのです。
チェックリストの例として、例えば、私がビジネス文書をチェックする際のチェックリストは以下です。
- 誤記の確認
・誤字脱字がないか確認
・ですます調などの統一確認
・数値の符号確認 - 整合性確認
・書類間(他のページ)の整合性確認
・数字の水準感確認
・発見したミスと同じようなミスを、他でやっていないか確認 - 理解の確認
・分析に利用した数値の作り方の確認
・理解があいまいな箇所がないか確認 - ネクストステップの確認
・分析結果が、次にどのように利用され、その際に必要な情報は載っているか
ここでのポイントは、チェックリストの内容というより、レビューをする際のポイントを考えた上で、レビューをすること
つまり、自分が何のために、そして、それがどのようになっていくのかを考えた上で、行動している点です。
詳しくは、下記記事をどうぞ。
見るべきポイントを意識して、実施すると、より間違いを見つけやすく、そして、幸い(残念?)なことに実際沢山見つかりますw
チェックポイントは観察日記で探す
先例で挙げたレビューコメントは、間違いを正すための方法という、わかりやすいチェックポイントでしたが、何に対してチェックリストを作成するか、つまり、そもそも何に注意を払うかを見つけることに悩むかもしれません。
実際私も悩んでいます。
そのチェックポイントを見つけるための方法として、日々起きていること、また、それに対してどのように感じたかなど、思考過程を意識して残こすことが有用だと思っています。
そう、自分の観察日記をつけること。
理由は、日々の自分の行動、結果、感情をまとめておくことで、自分の習慣的な過ちを見つけることができるからです。
習慣的な過ちは無意識にその判断をしているが故に、意識しないと治すことはできないので、習慣的な過ちを知ることが重要なのです。
また、特に感情部分は、すぐ忘れてしまうので、些細なことでも記載しておくと、その時の状況をより思い出しやすくなり、また、自分はこういう風に感じるんだと、自分を知るきっかけになります。
【日記記載事項】
- (行動)実施したこと → 決断の根拠は何か、自分が考慮したこと、他に方法はなかったか
- (結果)どうなったか → 目標は達成したか、誰が関係していたか
- (感情)どう思ったのか → 自分は幸せだったか、何かで集中力を欠いたか
私も観察力を意識して、日記を書き始めたばかりなので、今後続けていき、ビジネス文書のチェックポイント以外にも、皆さんに伝えられそうな例がでてきたら、追記していきたいと思います。
(参考)
話が脱線しますが、日記に使うノートは、書く量にもよりますが、手帳などのようなコンパクトなノートより、A4サイズ以上のノートをおすすめします。
理由は、多くのことを書き込み、そして、その各々の関連性などを検討するには、小さすぎると、ページを何度もめくらないといけないし、俯瞰して見るには、見ずらいからです。
ちなみに、おすすめのノートは、ケンブリッジノート。
これは、私の場合ですが、仕事でも使っているので、同じノートにすれば1冊で済むことが1番の理由。
ケンブリッジノートは表紙が厚紙のため、外でも立ちながら書くことができるので仕事で使いやすいのです。また、仕事とは別のノートとして使うとしても、仕事と同じノートであれば、同じ感覚でノートを使うことできるのもいいと点だと思います。
まとめ
注意力は有限であることから、判断をするために必要な情報を収集するには、何に注意を払うかを検討した上で、自分の意志で振り分け、積極的に観察すること。
これにより得られる情報は、今までと比較して、必要な情報を多く得られるため、今までよりも、高度な判断ができると思っています。
言うは易し、行うは難しですが、観察を意識しながら、日々訓練をし、自分を磨いていくことに精進していこうと思っています。
【参考図書】