【厳選5冊】会計士5年目あたりで監査に「飽き」を感じ始めた時に読んでみるといい本

みなトン
みなトン
「監査5年ぐらいやってきたけど、今のまんまでいいのかな?でも、なんかすると言っても、何すればいいの?」

の疑問にお答えいたします。

会計士5年目あたりで監査に飽きを感じ始めた時に読んでみるといい本【5冊】

何をすればいいか悩んでいる会計士さん。

その悩み、わかります。

監査を5年もやれば、監査に慣れてきて、「飽き」が来る頃ではないでしょうか。

この「飽き」というのは、同じ様なことを、同じように繰り返していると、でてきちゃう感情。

で、これは完全に私見ですが、

飽きに対する対処法は、「新たな発見」

です。

監査人は、普段から会社を見ているわけですが、今の見方で見続けて来て、「飽き」が来ているんですよね。

じゃあ、その見方が少しでも変わったら、いままで見ていた、または、見逃していた情報に、違った意味が生まれ、
新たな発見を可能になるじゃないですか。

そのためには、普段と違ったことをほんの少しでも取り入れてみるのが一番。

じゃあ、どうするのか。

そう。監査以外の視点を知ればいいのです。

ということで、”監査以外の視点を見つけるための本”【5冊】をご紹介。

  1. 【M&Aの視点】M&A財務デューデリジェンス
  2. 【IPOの視点】チェックリストでわかるIPOの実務詳解
  3. 【開示の視点】株式投資に活かす適時開示―伸びる会社はこれでわかる
  4. 【非財務情報の視点】SDGs・ESGを導くCVO(チーフ・バリュー・オフィサー): 次世代CFOの要件
  5. 【クリティカルシンキング】天才科学者はこう考える 読むだけで頭がよくなる151の視点

この中で、「新たな発見」を1つでも見つけられたら、モヤモヤしている今までとは違った時間を過ごすことができると思いますよ。

では、紹介していきますね。

1:【M&Aの視点】 を見つけるための本

『 M&A 財務デューディリジェンス』
著:デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社


監査人が更なる成長を求めて、監査とは違った道を選択する一つに、会計アドバイザリー業務があります。

会計アドバイザリー業務といっても、色々あるのですが、

監査と似ているけど違う視点を学びたいなら、M&Aに関するアドバイザリー業務である、財務デューデリジェンス(以下DD)を、学んでみてはどうだろうか。

財務DDとは、簡単に言うと、ある会社を買いたいな(売りたいな)と思った時に、その会社がどんな財務状況にあるのか調査する業務のこと。

監査人の視点は、会計処理が正しいかどうかがメインですね。

では、財務DDではどんな視点なのか。

ここで質問です。

あたなは車を購入しようとしています。では購入前に何を確認しますか。

色々気になるポイントがあると思います。

・ブランド
・見た目
・色
・車高

・中古車
・走行距離
・座席の座り心地
・音質 …etc

これらの気になる点を確認した上で、最後の最後に気にすることがあると思います。

そう、「価格」ですよね(最初から気にしていることかもしれませんが)。

では、「車」が、「会社」だとすると、何を気にしますか?

・会社のビジネスモデルは?
・取引先は?
・キーパーソンは?

・業績は?

・将来計画は?
・引き継げない契約はないか?
・人事制度の統一に支障はないか?…etc

そう、「会社」を買おうとするときも、色々なことを気にするわけです。だって、「車」以上に、高額な買い物なのだから。

ただ「会社」は、車のように見たり、触ったりするだけで知りたいことがわかるシロモノではないですよね。なにせ、知りたい情報が膨大な情報により構成されているから。

もう、おわかりですね。

この知りたい情報を確認するのがDDで、その中でも財務について確認するのが財務DD。

で、M&Aにも、当然「価格」があり、それが重要であることは、想像に難くないでしょう。

ながなが書いてきましたが、言いたかったことは、M&Aには、常に「価格」に対するインパクトという視点があるのです。

では、どうやって学べはいいのか。それは、M&Aの先例から学ぶのが手っ取り早いでしょう。そんな時は、財務DDを実施している人達や会社のM&A担当者のための本を読んで学ぶのです。

あと、皆さんも十分わかっていると思いますが、「M&Aよくわからないんだよな」とは言ってられない事情もあるはずです。

会社は監査人の気持ちなど気にせず、M&Aを実施しますから。そして、なにより、会社の方はM&Aを経験し、見方を知っています。

是非、これを機に、M&Aの世界に触れてみてはいかがでしょうか。

あと、M&Aを得意にしたいという方は、こちらも参考にしてみてください。

2:【IPOの視点を見つけるための本

『 チェックリストでわかるIPOの実務詳解』
著:EY新日本有限責任監査法人 (編集), 金野広義 , 田中博文, 大角博章, 清宮悠太 


「新たな視点」という意味では、IPOに触れてみるもの一つです。

「IPOの部署に異動しろっていうのか?」

と思った方もいますかね。

もちろん、そういうわけではありません。というか、そう簡単に異動はできないでしょう。

でも、そう思った方こそ、「新たな視点」のチャンスがあるはずです。

なぜなら、IPOの部署にいなきゃIPOは関係ないと思い込んでいませんか?

そうだとすると、普段から、IPOに関する情報を普段から遮断している可能性が

直接、IPOに関与できなくとも、IPOについてはいつでも学べますよね。

ここで質問です。

・クライアントの定款にどんなことが記載されているか理解していますか?
・クライアントの反社チェック体制を理解していますか?

これは、別にIPOの部署の人じゃないと知らないことではなく、会社は、必ず持っている規則であり体制で、監査人ならいつでも見ることができる情報です。

でも多くの人が、その情報に意味を見いだせていない(監査上重要でないとして)から、見ていない情報なのではないでしょうか。

ここで重要なのは、とにかく「新たな発見」です。

IPOの視点を得ることで、より多くの情報に意味を持たせるのです。

でも、IPOを専門にしていない人がIPOをガッツリ学ぶのは非効率というか、自分にとって何が新たな発見かわからない状態で専門書を読むと、何ために読んでいるの迷子になってしまいます。

でも、そうならずに読める本が、こちらの本。

この本は、各節の最初に、チェック項目を記載してくれています。

そう‼

この本のいいところは、自分が確認するポイントをまず明確にした上で、読むことができる点。

IPO業務を普段していない人ほど、新たな視点を発見する読書を「楽」にしてくれると思います

やっぱり、なんでも、「楽」がいいですよね。

ちなみに、新たな発見という意味では、この本を最初から順番に読むより、

・普段の業務と関連の強そうな、「第5章:内部統制の整備」とか「第7章:関連当事者取引」
・会計士が気になりそうな「第8章:IPOにおける税務」

から読んだ方が、新たな発見が見つけやすいと思います。

是非「新たな発見」を、「楽」に「楽しく」見つけてみてください。

ちなみに、知らない領域の本を読むときこそ、チェックリストが有効という点は、個人的に新たな発見でしたw

3:開示の視点 を見つけるための本

『株式投資に活かす適時開示―伸びる会社はこれでわかる』
著:鈴木 広樹


いきなりですが、質問です。

・適時開示って知ってますか?
・クライアントの適時開示はチェックしていますか?
・チェックしている適時開示が、決定事実、発生事実、決算情報どれにあたるのか理解していますか?

「適時開示」という言葉を知っていても、クライアントが開示している適時開示をチェックしていなかったり、決定事実・発生事実という言葉を知らなかった方もいるかと。

その理由は、そもそも適時開示って何なのか、その重要性をあまり理解していないからだと思います。

恥ずかしながら、私も監査3年目ぐらいまで、適時開示を知らなかったので、(当然ながら)クライアントの適時開示は見ていませんでした・・・

でもこれ、私だけではないような気がします。

そもそも、適時開示について、知らなければ、見るという発想にならないから。

さっきの質問に、自信をもって「はい」と答えられなかった方は、是非こちらの本で学んでください。

で、適時開示がなんなのかを理解するためだけに、この本を紹介したわけではありません。

この本は、投資家が企業の姿をとらえるために、どのように有報を読むべきか、どのように適時開示で、企業の動きを捉えていくのかをアドバイスしてくれている本です。

つまり、投資家がどのように有報と適時開示を見ているのかを学べる本なのです。

有報の正確性に目が行きがちな監査人に、開示の本当の意味を理解させてくれる、良本です。

最後に、著者は述べています。

ディスクロージャーを読むことによって、会社の能力と性格がわかり、成長する可能性が高いか低いかがわかります。

会社の能力と性格を理解できる会計士になってみてはいかがでしょう。

4:【非財務情報の視点】 を見つけるための本

『SDGs・ESGを導くCVO(チーフ・バリュー・オフィサー): 次世代CFOの要件』
著:マーヴィン・キング, ジル・アトキンス


企業の良し悪しの判断が、財務数値のみではなく、ESGやSDGsなど企業の活動自体に注目が集まっていることは、十分ご認識されていることでしょう。

それにより、財務情報以外の非財務情報の重要性が高まってきております

突然ですが、皆さん

「統合報告書」の「統合」ってどういう意味かわかります?

この答えを理解するためには、この文章を理解する必要があります。

「企業は、内部の資源と、外部環境を利用して、企業価値を創造しています。」

えっ、いきなり何?って感じですよね。

しかも、わかるけど、わからない文章ですよね、これ(笑)。

そんな時は、具体例を。

例えば、サプライチェーンの中で企業に供給された製品が児童労働によるものであることが判明したとしたら、企業の時価総額に悪影響を及ぼすであろう。

この例を見ればわかる通り、製品の製造過程の中で、一部外注していた場合、その外部環境(外注先)の影響を受けていますよね。

これが、内部の資源と、外部環境を利用して、企業価値が創造されているという意味であり、統合的思考と言われているものです。

で、その企業価値をどのように、短・中・長期的に創造していくのかを記載しているのが、「統合報告書」。

財務情報以外の情報の重要性が高まっている以上、会計士としても学ぶべき視点であり、また、これからの時代の会計士がどのような役割を示していくべきなのかを示唆していくれている本が、こちら。

著者は、国際統合報告評議会(IIRC)名誉議長マーヴィン・キング博士で、彼の「統合的思考」に対する考え方が載っています。この、統合的思考の根底の考え方を理解することで、今見ている財務情報がより俯瞰的に捉えらるようになると思います。

是非、非財務情報という異なる視点に触れてみてはいかがでしょうか。

5:【クリティカルシンキング を鍛えるための本

『天才科学者はこう考える 読むだけで頭がよくなる151の視点』
著: 天才科学者151名、ジョン・ブロックマン (編集)


思うんですよね、監査人の考え方って、科学者に似ているのではって。

えっ?また、いきなり何?って感じですが、

だって、科学者って常に仮説と検証を常に繰り返している方々でしょ。
監査も、自分が想定している仮説どおりに処理がなされているか、証拠を集める仕事なんだから、同じじゃないですか。

同じとまでは言い過ぎかもしれないけど、やっていることが似ているのなら、監査的な視点に、取り込みやすい考え方が見つけられる可能性も高いと思いません?

で、沢山の天才科学者の考え方を集めた本がこちら。

この本は、”人々の認知行動力を向上させうる科学的な概念は何か?”という問いに対する、151人の天才科学者達の考え方が書いてある本。

このなんだかよくわからない、答えのない質問に対して、天才科学者たちがどのように考えたのか、151個の考え方に触れることができる本。

分かっていると思いますが、今回は、会計とは”まったく”関係ない本です。

なんで?と思う方のために、一応紹介した意図だけ。。。

普段仕事をしている時には、絶対考えないことを考えることからも、仕事に使える「新たな発見」ができることを体感してほしいという思いから紹介しております。

天才科学者達の考え方に対して、一つ一つ、焦らず、色々なことを考え、想像し、はたまた批判しながら、読んでみることで、いつのまにか、物事を複数の視点で捉えている自分を見つけることができると思いますよ。

是非、「新しい自分」を発見してみてください。

最後に

自分の学んだ知識・経験がどのように将来つながるのかは、誰もわからないと思っています。

you can’t connect the dots looking forward


2005年のスタンフォード大学卒業式で語られた、スティーブン・ジョブズの言葉の抜粋です。

彼ほどの発見ができるなんて、口が裂けても言えませんが、知識と知識、経験と経験を結び付けて考えることで、新たな発見があるかもしれないという偉大なるスティーブン・ジョブズの考えを活かして、「新しい発見」を探してみてはいかがでしょうか。

【厳選5冊】


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