など、「デジタルガバナンス・コード」について今更聞けない疑問にお答えします。
特に、忙しくて時間のない社会人の方、サクッと「デジタルガバナンス・コード」を理解したい方、知りたいところだけでも見てください。
この記事の目次
Q1:そもそもデジタルガバナンス・コードって何?
デジタルガバナンス・コードは、2020年11月に、経済産業省から公表されたコードで、2つの側面があります。
①「デジタル技術の変化への対応」について、ステークホルダーと対話をするためのあるべき姿
② DX認定事業者としての認定基準
1つ目は、ステークホルダーとの対話の視点
今の日本社会に求められているDX対応について、どれくらい対応しているのか、ステークホルダーとしては知りたいわけです。
そこで、対話に求められる考え方を4つにまとめて、有るべき姿を示しているのです。
2つ目は、DX認定制度の認定基準にもなっている点。
このDX認定制度は、「企業がデジタルによって自らのビジネスを変革する準備ができている状態(DX-Ready)」にあるかを認定するもの。
その認定基準が、このデジタルガバナンス・コードに基づいており、デジタルガバナンス・コードの中に、認定基準の記載もされています。
Q2:デジタルガバナンス・コードが設定された理由は?
グローバルでの競争、少子高齢化、労働力不足など、攻めのIT投資が必要な状況であることは、みんな頭ではわかっている状態。
でも実態は・・・
①システム変更に莫大な資金が必要になるから、昔からのシステムを使い続けている
②システムが複雑化しすぎて、データをうまく活用できない状態が続いている
③システム運用のノウハウが属人的でブラックボックス化してしまい、システム障害が発生している
今、日本はこんな状態なんで、ちょっと待ってね、と言っても世界は待ってくれません。
日本全体でDXの推進が必要不可欠の状態なので、DX推進における有るべき姿と、DXを進める企業を後押しする認定制度を設計したのです。
Q3:コーポレートガバナンス・コード(CGC)とデジタルガバナンス・コード(DGC)って何が違うの?
これを理解するのに、イメージしやすい図解があったので、こちら↓をご覧ください。
(出典:第1回 Society5.0時代のデジタル・ガバナンス検討会 事務局説明資料)
上図の左下に記載の通り、CGCは、すべての上場企業に対応が求められるフレームワークであるのに対して、DGCは、DX銘柄としての、自主的なフレームワークという違いがあります。
ただ、ステークホルダーとの対話を意識したとき、これからのSociety5.0時代において、このフレームワークに対応しないという選択をする場合には、理由が必要になりますね。
Q4-1:デジタルガバナンス・コードに、何が書かれているの?
デジタルガバナンス・コードは4つの考え方から構成されていて、それぞれ考え方、認定基準、望ましい方向性、取組例が書かれてます。
4つの考え方
①ビジョン・ビジネスモデル
②戦略
③成果と重要な成果指標
④ガバナンスシステム
この4つの考え方は、「デジタルガバナンスに関する有識者検討会報告書」における5つの原則と、「価値協創ガイダンス」の6つの視点がもとに作られています。
(出典:第1回 Society5.0時代のデジタル・ガバナンス検討会 事務局説明資料)
Q4-2:4つの考え方って、どんな考え方なの?
柱 | 考え方 |
①ビジョン・ビジネスモデル | ・デジタル技術による変化を踏まえた、経営ビジョンの策定・ビジネスモデルの設計 ・それを織り込んだ、価値創造ストーリーをステークホルダーへ提示 |
②戦略 | ・デジタル技術を活用する戦略の策定 |
②-1 組織づくり・人材・企業文化に関する方策 | ・デジタル技術を活用する戦略の推進に必要な体制の構築 ・そのための、人材の確保・育成・外部組織との関係構築・協業の検討 |
②-2 ITシステム・デジタル技術活用環境の整備に関する方策 | ・レガシーシステムの最適化など、ITシステム・デジタル技術活用環境の整備 |
③成果と重要な成果指標 | ・戦略の達成度を測る指標の設定 |
④ガバナンスシステム | ・経営者が、率先してデジタル技術の動向やITシステムの課題を把握・分析し、戦略を見直す |
つまり、デジタル技術という観点において、戦略をもち、体制をつくり、成果をチェックし、そして戦略を見直していく、PDCAサイクルを作りなさいということ。
Q5:実際、DX認定事業者になるとどんなメリットがあるの?
①国から、DX-Readyの状態であることのお墨付きがもらえる
②上場企業の場合、取組により、「DX銘柄」として認定される可能性がある
①国からDX-Readyの状態であることのお墨付き
DX-Readyとは、「企業がデジタルによって自らのビジネスを変革する準備ができている状態」のことです。
今DXを推進することが何よりも重要であることは、皆、百も承知。
ただ、自分達でやってますと言っても、本当か?となるし、実際どれくらいのレベルなのか、外からはわからないですよね。
そこで、客観的な立場から、DX-Readyな状態であることを承認してもらえることは、対外的に、DXを進めていることの理解を得やすい
②「DX銘柄」に認定される可能性がある
DXの準備ができているって言われてもね・・・って思いますよね。
そこで、実施している取組を「企業価値貢献」と「DX実現能力」という着眼点から評価して、DXを適切に推進している企業は、「DX銘柄」として選定されます。
また、「DX銘柄」に選定されなくとも、企業価値貢献に対して注目すべき取組を実施している企業は「DX注目企業」として公表されます
自主規制であるが故に、「DX銘柄」「DX注目銘柄」に選定されれば、他社と差別化できるメリットがありますかね。
ちなみに、どれくらいの「DX銘柄」があるのかというと、こんな感じです。参考まで。
2021年 | 2022年 | |
銘柄応募数 | 464社 | 401社 |
DX銘柄 | 28社 | 33社 |
DX注目銘柄 | 20社 | 15社 |
さらに、DX銘柄のうち、グランプリが選ばれます。
2021年 | 日立製作所 | SREホールディングス |
2022年 | 中外製薬 | 日本瓦斯 |
具体的な銘柄については、下記リンク先をご参照ください。
・2021年 DX銘柄・DX注目銘柄
・2022年 DX銘柄・DX注目銘柄
最後に一言
そもそもこのデジタルガバナンス・コードが設定された大前提に、「2025年の崖」があり、これではまずいということで、政府として日本企業をDXの潮流に乗ってもらうための施策の一つです。
なので、このデジタルガバナンスコードで、即、何かが変わるのかというと、そういうわけではないとは思いますが、日本政府が目指しているSociety5.0の社会において、DX認定を受けている受けていないにかかわらず、DX推進事業者レベルでないと、生き残っていくことが難しい世界なんだろうなと思った次第です。
是非、Society5.0の社会を想像し、これからの人生・キャリアをどうして行くのか考えるきっかけにしてはいかかがでしょうか。